ゴッドネス・ティア
『サロナ様っ!ハンカチとティッシュは持ちましたか?お菓子はあまり食べちゃいけませんよ?夜遅くに出掛けたらいけませんよ?襲われますよ?』
『煩いジョージ!私は子供じゃない!そんなに心配しなくても大丈夫だ!』
『…な、…んななな何をおっしゃいますか!このジョージがいなかったらサロナ様寂しくて寂しくて死んじゃうくせに!このツンデレ屋さん!』
『煩い私はもう行く!村のことは任せたからな!』
『心配御無用!このジョージが精一杯サロナ様のかわりに役目を果たしたいと思います!ささ、サロナは楽しい旅を…いってらっしゃーい!』
『旅行じゃない!!』
……サロナが村を出る時、ジョージは相変わらずだった。
まあ彼なら、ある意味大丈夫だろう。多分。
「……そういえば国王騎士は何を?」
ジョージの話題から反れ、サロナが尋ねてきた。
今、国王騎士とは行動を共にしていない。
今レオナ達一行は、レオナ、ヒサノ、アラン、リン、スノーリア、そしてサロナという六人で行動している。
六人という人数は意外に多いもので、長身のスノーリアや美人が多いせいで、実は目立っていたりする。
「国王騎士なら、馬車を隠すから先に行ってろってよ。…どこに隠すかは知らないけど」
いったいあの巨大な青い馬をどこに隠すのだろうか。……否、隠すところがあるのか?
まあそこは国王騎士達がどうにかこうにかするのだろう。
「……………じゃあ、クレストは…?」
「……クレスト?」
「…いつの間にか、姿が見えない気が…」
「……あ、本当だ。そういえばいたな、そんな奴」
何か足りない気がしていたのだ。
そうか、奴がいないのか。すっかり忘れていた。
少し考えて、彼についてよく知っていそうな最後尾のスノーリアを振り返った。
直ぐさま目が合う。
「スノーリア〜、クレストはー?いねぇんだけど」
「…街に入ってすぐに用事があると言って別れた。気付かなかったのか?」
「……全然気付かなかった…いつの間にか消えてっから…」