ゴッドネス・ティア
又しても上品に微笑んだ、和葉と呼ばれた女性。

お互い軽く挨拶交わし、和葉の方は小さく頭を下げた。


そして、顔を上げた瞬間笑みは消え去り、和葉は何か小さく呟いた。





「…………………誰にも付かれてへんやろうな?」


その真剣な声色。それを小馬鹿にするように、クレストは鼻で笑った。

和葉に顔を近付け、彼女同様小さく呟く。


「……心配御無用」


そう呟くと彼女から離れ、更に笑みを深くした。


「何年この仕事やってると思う。そんな奴等がいたら、俺の通った道は血の海だぜ」



実に楽しそうに、情報屋クレストは微笑んだ。



「ならよかったわ。しばらく向こう側の世界にいてたみたいやし、腕が鈍ってたらたまらんわぁ」



こちらも上品に笑みを含め、裏世界の…癖のある微笑みを浮かべた。



「ほな行こうか。表通りが騒がしくて、調度いいんや」


「さすがだなー。こそこそするより堂々とするところ、姐さんらしい。俺そんな姐さんが大好きでーす」


「何当たり前の事言うてんの。それは裏世界での当たり前の生き方や。そう出来ひんのはクソ素人のドカスやろ。あんたも今更やろ、そんなこと」


「………ちょ、俺の愛の言葉は無視っスか?」


「あんたはタラシやからなぁ。そんな言葉聞いても、蚊の音より欝陶しいだけやわ」



さっさと場所を移そうと肩を並べて歩きだした二人。

和葉の方は久しぶりに会っても相変わらずで、常時柔らかい上品な笑顔を浮かべたまま、しかし言葉はなかなかグサリとくることばかり。



「そんなつれないこと言うなよな〜姐さん。これでも一応俺、パートナーだぜ?」


「仕事の、な。パートナー言うても同職ってわけやないし、…まあ1番仕事の上で信用できる相手ってとこやなぁ。あんた仕事は出来るさかい。それやけん自然と組むことも多くなるんやなぁ」


「お、俺褒められた?褒められたよな?」


「うーん、そうかもなぁ。そう思っときー」



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