ゴッドネス・ティア
障子の向こうで向き合う二つの影から目を逸らして、二人は脱出することを決め込んだ。
二人が音もなく立ち上がると、そこには険しい顔付きをした宗十郎の娘…茜がいた。
先程の猫の鳴き声も、この娘が発したものだろうと考えれば納得できる。
茜は目だけで、着いてこい、と合図し、三人は音もなく廊下を進んだ。
「何やっとるんじゃ!」
脱出成功直後。茜は勢いよくこちらを振り返り、いい年した大人に説教を始めた。
榊原家の屋敷を背景に、茜の怒声が響く。
何人もの女を連れた吉倉のお客がそれを怪しそうにじろじろと見てくるのも気にしないで、茜は続けた。
「あんたらなら相手が誰だかわかっとるじゃろうが!!」
「…悪いなぁ茜ちゃん。ちょいとお姉さん気になってしもうて…」
「…そうなんだよ茜ちゃん。頼むからそんな怒んないで。お兄さんさすがにこんな人前で怒られるのは恥ずかしいなぁ」
「じゃあかしいわ!ええかいあんたら!あの女が誰なんか言うてみんさい!!」
…そう言ってまくし立てる茜ちゃん。
いくつかは知らないが、まだまだ少女と呼べるお年頃のはず。
だが、その剣幕といえばいい年いった大人でもしゅん…としてしまいそうな程。
クレストは恐る恐る口を開いた。
「――…元国王国家女五大騎士の…早乙女 呉羽………殿…だよな」
「そうじゃ!あんたらも知っとるじゃろう!国王騎士の乙葉 華蓮と神野 真琴の御師匠殿じゃ!!好奇心旺盛なのはいいことじゃが頼むからあの女を暴れさせてくれるな!家が壊れるわ!」
「………すんませーん」
二人が音もなく立ち上がると、そこには険しい顔付きをした宗十郎の娘…茜がいた。
先程の猫の鳴き声も、この娘が発したものだろうと考えれば納得できる。
茜は目だけで、着いてこい、と合図し、三人は音もなく廊下を進んだ。
「何やっとるんじゃ!」
脱出成功直後。茜は勢いよくこちらを振り返り、いい年した大人に説教を始めた。
榊原家の屋敷を背景に、茜の怒声が響く。
何人もの女を連れた吉倉のお客がそれを怪しそうにじろじろと見てくるのも気にしないで、茜は続けた。
「あんたらなら相手が誰だかわかっとるじゃろうが!!」
「…悪いなぁ茜ちゃん。ちょいとお姉さん気になってしもうて…」
「…そうなんだよ茜ちゃん。頼むからそんな怒んないで。お兄さんさすがにこんな人前で怒られるのは恥ずかしいなぁ」
「じゃあかしいわ!ええかいあんたら!あの女が誰なんか言うてみんさい!!」
…そう言ってまくし立てる茜ちゃん。
いくつかは知らないが、まだまだ少女と呼べるお年頃のはず。
だが、その剣幕といえばいい年いった大人でもしゅん…としてしまいそうな程。
クレストは恐る恐る口を開いた。
「――…元国王国家女五大騎士の…早乙女 呉羽………殿…だよな」
「そうじゃ!あんたらも知っとるじゃろう!国王騎士の乙葉 華蓮と神野 真琴の御師匠殿じゃ!!好奇心旺盛なのはいいことじゃが頼むからあの女を暴れさせてくれるな!家が壊れるわ!」
「………すんませーん」