ゴッドネス・ティア
紅桜市街に入る前、準備の良い華蓮が「あまり目立たないようにするために、な」とか言って、少しお粗末げな着物を着せてくれていた。

もちろん、レオナ達男もしっかりと着物を着ていた。



「せっかくですし、殿方様達も着替えましょうか?」


「………いや、俺達は…」


「え、いいの?!うわーい!!」


「…………おい」



有難迷惑な女の発言に、レオナは直ぐさま断ろうとしたが、それを遮ってアランのまだかわいらしい声が響いた。

ニコニコと無邪気な笑顔を見せられると、…断ろうにも断れない。



「………じゃあアランだけ部屋の奥に…」


「えー?レオナももちろん着るでしょ?なんで着ないの?」


「………………いや、俺はこれでいいし…」


「あ、ついでにもっと目立たないフードでも借りなよ!傘とかどう?」


「……いや、傘はちょっと…」


「じゃあフードで。あ、そこの綺麗なお姉さーん!僕たちも着替えたいなー?」


「はい!ただいま準備して参ります!」


「……………………」



アランの勢いに圧倒されて、結局なんだかまた着物を着ることになってしまった。


とくに断る理由はないから………ま、いっか。


























「まあ、お似合いですよー!」


「本当に!美しいわ!」


「うっとりする…」




着物に着替えた男三人衆は、またもや女達に囲まれていた。

というより、スノーリアが。


少しばかり欝陶しそうな表情にも見えるが、さすが貴族、スノーリアの口元には薄い微笑が浮かんでいる。



「レオナって、意外と着物似合うんだね!なんか大人っぽく見える!」


「…あ?」


「レオナ調子こいてムカつくだろうから今まで言わなかったけど、レオナって若干15歳のくせに大人っぽく見えるよね!3つくらいはごまかせるよ!」


「…おお?マジかそれは…」


「嘘だよ」


「…………」



(…………最近のアランがわからない……)




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