ゴッドネス・ティア
「国王騎士の任務は『教会の使者の護衛』だ。一人くらい死んだって、石が無事ならば任務は完了される」


「…………スノーリア」


「………だろう?国王騎士。国王騎士は軍の駒でしかないからな。本来、国家の目的は教会の使者の命などではなく、石でしかないのだから」


「………別にそういう意味で言った訳じゃねぇんだけどな」



冷たくそう言い放ったスノーリア。
その言い方に、相変わらずな華蓮は顔をしかめた。



「……スノーリア、お前本当に空気を重くすんの得意だな。空気読め」


「……貴様が言えることか?レオナ」


「うるせぇ黙れ」



そんな言い合いをする男二人。
華蓮は顔をしかめたままふんっと鼻を鳴らす。


そして、近くにいたレオナの手を引っ張った。



「……お、おぉ…?」


「ちょっと来いレオナ。オレとデートしろ」


「は?…な、なんだよいきなり…っ」



問答無用。ズルズルと有無を言わせることなく、レオナを外へと続く出口へ引っ張る。



「ちょ……レオナ…!で、デートって…?!」



突発的な華蓮の行動にワタワタとし始めたヒサノ。

その声に、あっと思い付いたように華蓮はまたヒサノを引っ張った。



「ヒサノ、お前を忘れるところだったわ。お前もデートしろ。これ強制な」


「…へ!?わ、私もですか!?」


「おう、お前がいなきゃレオナに襲われちゃう、怖いんだー」


「てめぇ…!変な事言ってんじゃねーぞコラァア!!」


「レオナったら最低ですね!行きますよ華蓮ちゃん!私がレオナから守ってさしあげます!」


「はは、頼もしいな」


「ざけんなよテメぇ等!華蓮はそろそろ手ぇ離せっての!」





……そして、嵐のように三人は店を後にしたのだった。



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