ゴッドネス・ティア
「綺麗な赤だね!」



手を繋いでいるハーバの手が、突然冷たく感じた。
脳内では、何故?どうして?と疑問詞ばかりとんでいるが、相変わらず明るいハーバの声によって現実に引き戻された。



「オイラその色好き!でもなんで魔術で色を黒にしてるの?」


「……な、んで…」


「誰かに色を変えられたんだね!兄ちゃんからは魔力を感じないから!」


「……ハー…」


「ねぇ、今度は兄ちゃんが赤子なの?にしては全然力を感じないから、封印されちゃってるのかなー?」



魔術?魔力?
この子供は魔女の村の子か?
赤子って何だ?赤ん坊か?
封印?なんのことだ?
力って?なんなんだ?




――この子は、何を知っている?














「あー!いたいた!リリィだぁ!!」


「ハーバぁぁあ!どこにいたのぉ!!」


「えへへー迷子になってたー」


「馬鹿!!!」



ハーバが同じ年程の女の子を見付けた。
きっとこれで迷子ではなくなったのだろう。

視線の先では半ベソの女の子とやはり笑っているハーバ。


しかし、レオナの耳にその声は聞こえていなかった。

なんだかよくわからない物が体の中を駆け巡って、気持ちが悪い。

吐き気が、する。

















「……レオナ?」



背後から、聞き慣れた声が聞こえた。

その声の持ち主を確認するため振り返ると、彼女は驚いたように目を丸くした。

彼女を見た瞬間何故か、先程の気持ち悪さと吐き気が消えた。



「どうしたんですか?!か、顔が青いですよ!!」



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