ゴッドネス・ティア
「そういえば…さっきの女の子って…」


ハーバと二人で駆けて行った女の子。白髪なのか銀髪なのかよくわからない髪をかわいらしく二つに結っていた。


「……あ、リリィのことですか?」


「そう、あの子といたんだ?」


「はい。あの子も迷子だったみたいで……。といってもあの子、全然自分が迷子だってことを認めようとしないんですよ!涙目でうろうろしてたから話しかけたのに、第一声が「迷子じゃないわよおばさん!」なんですよ!あれにはカチンときちゃいました!」


「………ああ、だからおばさんって…」


「私おばさんじゃないですよ!まだまだピチピチの14歳です!」


「はいはい。まだまだお子ちゃまですものねー。よしよーし」


「ちょ、子供扱いしないでくださいよっ!」



頭を撫でてやると、顔を赤くして怒ってきた。そうゆうところがお子ちゃまなのだと本人はきっと気付いていない。

「だいたい一年しか変わらないじゃないですか!」とか「レオナも子供でしょ!」とかプリプリ怒って頭を揺するものだから、その度に彼女の髪が揺れた。

旅に出た時よりも少し伸びて、肩を超す程になっている。江戸州にはあまりいないせいか、ここでは彼女のプラチラブロンドがとても目立つ。
レオナの赤い髪程ではないが、キラキラと太陽の光を浴びて輝く彼女の髪は人の目を引くのだ。



「……髪、伸びた?」


「…え」



着物を着せてもらった時はきちんと髪を結っていたのに、歩いている途中で崩れてしまったのか今は自然のまま下ろしていた。
それを一束掬ってみると、その髪は驚く程綺麗にサラサラと指から流れ落ちた。その瞬間、ヒサノの顔は怒りを含んでいるわけではない表情で、いきなり赤くなった。



「な…何触ってんですか!!」


「いやーサラサラだなぁと思って。俺くせっ毛でさ、スゲェ跳ねんの。羨ましいわ」


「べ、べべ別にくせっ毛でいいと思いますよレオナは!性格が髪にそのまま出てるじゃないですか!」


「テメェ、俺が跳ねた性格だって言いてぇのか」


「いい、いいから手退けてくださいよ!」


「………けっ」



珍しく慌てて言うものだからしょうがなく手を退けた。


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