ゴッドネス・ティア












風が、吹いた。


ざわざわと、何かが迫り来るような、不気味な…。



「………?」


「……どしたの香月?」


「………いや、」



万が一のためにリュンマと見張りをしていた。

ル・メイとシャランも香月とリュンマの反対側で見張りをしているのだろう。

見張りを初めて数時間。












――…風が、変わった。




































「待てっつってんだろうがっ!」


「ぎぃやぁぁああっ!!」



全力疾走を始めて数分、華蓮は自慢のポニーテールを捕らえられ、ついに捕まった。

相手は相変わらず酒瓶を振り回し、恐ろしいことこの上ない。



「師匠の言うことが聞けないのか馬鹿弟子!!」


「だ、だって師匠が追いかけてくるから…」


「お前が待たないからだろうが!!」


「そ、そんな…痛っ!痛い痛いっす師匠ーー!!」



ぼかすかと遠慮なしに殴り付けてくる唯一無二の師匠、早乙女 呉羽。

まだ日は暮れていないのにもう酒臭いところからつい先程まで飲んでいたに違いない。



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