ゴッドネス・ティア
「ここ、街が全部見渡せるねティル!」
「さすがティルよね!こんな素晴らしい所知ってるなんて!」
街全体が見渡せる丘に座る三つの影。
三つの影は楽しそうに寄り添っていた。
端から見ればとても仲の良い親子だ。
「そうでしょ?今から面白い物が見えるのよ」
「面白い物?なにそれなにそれー!」
「見ていればわかる……あ、ほらあれ」
母親と思われる女性は、白く細い指である場所を差した。
そこから十程の小さな影が飛び出し、それは真っ直ぐ街へと向かっている。
「………?何あれ」
「見ていればわかるわ」
「なんか楽しそうね!あたい楽しみ!」
「………ふふ」
ああ、本当に楽しみね。
何が起こるのかしら。
何人の人々が死ぬのかしら。
いくつの憎しみや悲しみが、生まれるのかしら。
「…あ、はははっ…!ははははっ…!!!」
愚かな生き物共め。
歎き苦しみ、憎しみと恨みで相手を傷付け、終いには死んでしまう。
楽になんか、逝かせてやらない。
苦しんで、死ねばいい。
「――…ざまーみろ…っ!」