ゴッドネス・ティア
走れ、走れ。

ヒュネット国王騎士を街内に入れるわけにはいかない。

まず外で奴らを待ち伏せして……







「―――…!!!」



逃げ惑う人々の中心に佇む、何かが見えた。

人々の進む方向ではなく、こちらをじっと見つめる何か。


走らなければならないのに、無意識に足を止めた。

向こうに、何かが、いる。


よく見えなくても、常人ではない気を発する者達が何かは一目瞭然だった。


奴らは、怪しく、不気味な笑みを浮かべ、口を開いた。











「………エルフはっけーん」



前に佇む人間三人。

中心に不気味な笑みを浮かべた女。右には物騒なことに両手に鎌をぶら下げている少女。左には…彼自身の背丈を上回る大剣を持つ少年が怪しい笑みを浮かべて堂々と立っていた。







「……人、間…!」



目の前の光景に目を見開き、やっと絞り出した声は涸れていた。


まさか、もう街内に侵入していたとは、とんだ誤算だ。









「なあナミ、俺早くこの大剣使いてぇんだけど。逃げ回ってるエルフ共、殺っていいか?」


「待ちなデューク。あんたの仕事は巫女の抹殺。お楽しみはそれが終わってからにしな」


「しっかしこの街の情報伝達は早いっすねー。もう皆逃げ出してらー。侵入してから数分しか経ってないっすよ」


「逃げたい奴らは勝手に逃げればいい。弱い奴らに興味はない」


「……ナミさんらしいっすね。で、あたしはあのちっこい騎士さんの方を殺ればいいんすか。ナミさんはどうせリーダーさんの方がいいんでしょ」


「わかってんじゃん。もちろんそうだよ」



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