ゴッドネス・ティア
あちらで何か話している。
何を話しているかは聞き取れない。
そう呆然と立ち尽くしているうちに、大剣を持った少年はニヒルな笑みと共に走り出した。
どうやら強行突破するらしい。
……そうはさせない。
いち早く反応したリュンマが少年の前に立ちはだかった。
「ここから先は通さな…――」
「――…デュークの邪魔はさせない」
少年の前で構えた途端、目の前に両手鎌を持った少女が飛び込んできた。
突然のことに反応しきれなかったリュンマは少女の蹴りあげた足を腹部にまともにくらった。
そのまま体は中に浮き、リュンマの体ごと木造の建物に吹っ飛んだ。
軽いはずのリュンマの体は重い蹴り一発で木造の建物に食い込み、一部破壊した。
彼女の空けた大穴から土煙りが舞い上がる。
「…リュ、リュンマ!!」
「ナイス、ルカ!じゃ、俺は先行ってるぜー」
「待て!この…!!」
ひゃっほーい!と身軽に屋根を飛び越えようとする少年を追う。
否、追おうとした。
「あんたの相手はあたしだろ?」
そう耳元で聞こえた重低音。いや、実際は言うほど低いわけではなかった。だが、その女の声色は、酷く低く響いたようだった。
瞬時に、長い愛用の槍を構えた。そして構えた腕にかかる痛い程の衝撃。
「……くっ…!」
「初めまして、藍 香月。…いや、お久しぶり、かな…?」
「………ちっ…」
巨大な鉄の槍。重量もあるだろうが、殺傷能力は数段上であろうその槍の向こうに、不敵に笑む女の顔があった。
「……あんたに再び会えるのを、あたしがどんなに待ち侘びていたことか」
交じり合った槍同士の間に火花が散った。
「……言っている意味が全くわからないのだが」
「……そんなはずはない。あんたは馬鹿じゃないからねぇ、多分」
「……」
会話を交わす最中も、槍の押し合いは続く。
だが、重く丈夫であるあちら側のほうがいくらか優勢だ。
香月の槍に、一筋の亀裂が走った。
何を話しているかは聞き取れない。
そう呆然と立ち尽くしているうちに、大剣を持った少年はニヒルな笑みと共に走り出した。
どうやら強行突破するらしい。
……そうはさせない。
いち早く反応したリュンマが少年の前に立ちはだかった。
「ここから先は通さな…――」
「――…デュークの邪魔はさせない」
少年の前で構えた途端、目の前に両手鎌を持った少女が飛び込んできた。
突然のことに反応しきれなかったリュンマは少女の蹴りあげた足を腹部にまともにくらった。
そのまま体は中に浮き、リュンマの体ごと木造の建物に吹っ飛んだ。
軽いはずのリュンマの体は重い蹴り一発で木造の建物に食い込み、一部破壊した。
彼女の空けた大穴から土煙りが舞い上がる。
「…リュ、リュンマ!!」
「ナイス、ルカ!じゃ、俺は先行ってるぜー」
「待て!この…!!」
ひゃっほーい!と身軽に屋根を飛び越えようとする少年を追う。
否、追おうとした。
「あんたの相手はあたしだろ?」
そう耳元で聞こえた重低音。いや、実際は言うほど低いわけではなかった。だが、その女の声色は、酷く低く響いたようだった。
瞬時に、長い愛用の槍を構えた。そして構えた腕にかかる痛い程の衝撃。
「……くっ…!」
「初めまして、藍 香月。…いや、お久しぶり、かな…?」
「………ちっ…」
巨大な鉄の槍。重量もあるだろうが、殺傷能力は数段上であろうその槍の向こうに、不敵に笑む女の顔があった。
「……あんたに再び会えるのを、あたしがどんなに待ち侘びていたことか」
交じり合った槍同士の間に火花が散った。
「……言っている意味が全くわからないのだが」
「……そんなはずはない。あんたは馬鹿じゃないからねぇ、多分」
「……」
会話を交わす最中も、槍の押し合いは続く。
だが、重く丈夫であるあちら側のほうがいくらか優勢だ。
香月の槍に、一筋の亀裂が走った。