ゴッドネス・ティア
「わぁ嬉しい!ありがとうございます♪
さっ、レオナさんも食べてください!
毒なんて入ってませんからっ!」



誰もそんな事考えてないって、と苦笑いしているレオナを無理矢理座らせ、一つ大きめの林檎を渡す。



「はい、どーぞ!
お腹の足しにもなりますし、喉も潤います。
私からこんな事でしか恩返し出来ないんで…食べてください」



アンから渡された林檎を戸惑いながら受け取る。

正直レオナお腹が空いていなかった。


先程打ち身したせいか、妙にさっきから胃が気持ち悪いし、別に喉も渇いていない。


食べようか迷うが、…ニ名の仲間の冷たい視線に気付き、仕方なく食べてみることにした。


戸惑いながら、胃に負担をかけない程度の量をシャリッと音を起てて口に含む。



「…………」



シャクシャクというリズミカルな音だけが辺りに響く。

レオナの表情は変わりなければ、言葉が発せられるわけでもない。

その沈黙に耐えられなくなったヒサノは苦笑いで口を開いた。



「あの…、どうなんですか、感想は?」


「んーンん?…ゴクンッ」



眉をひそめた後に林檎を喉に通す音が聞こえる。


おまえはどこの親父だと言いたくなるような息を吐き、レオナはヒサノを見据えた。



「…うまいよ、すっげえうまい」



無表情のわりには熱のこもった口調である。

そこでやっと張り詰めた空気に幕が下ろされた。


レオナを除く皆が安堵の息をつく。



「美味しいなら無表情で言わないでよ!
びっくりするじゃん!!」



アランがプンスカプンプンと効果音が聞こえるように子供っぽく頬を膨らませた。



「いや、マジだって!
俺の目を見てみろ!
キラキラ輝いているだろ?」


「え〜〜?」



三人はレオナに近寄って目を覗いてみる。

その赤い血でできたようなガラス玉は……



「…とくに変わりなーし」



口を揃えてそう言う皆に、
レオナ、ぷちショッキング。




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