ゴッドネス・ティア
「では、まず着替えて来ます。
そしていただきましょう」



ヒサノは真顔だ、どうやら本気らしい…。



「こ、これが…ドロボーというものなのですねっ!」



自覚はしているようだから尚悪い。

これからこの少女はどう成長していくのかと、保護者気分になっていたレオナは真剣に考えたのだった……




























「おっそーい…」



予約をした宿の前でイライラと足をジダンダさせている少年…アランは仲間である二人を待ちわびていた。


すると、向こうの方から輝くプラチナブロンドの少女と血のように赤い髪の男が見えて来た。



「おっそーーーーい…!
ったく、僕は子供なんだからっ!
大人がしっかりしてもらわないと困るんだよねっっ!」



アランは仲間の元まで足どり荒く走って行った。

二人の元に着いて早々…



「遅い二人共!
一時間過ぎてる!
僕待ちくたびれちゃったよ!
しかも別に迷ってるわけじゃないのに知らないおばさんが、『僕ちゃんどうしたの?おばちゃんがママを探してあげまちょうか?』ッてサ!!
四回は言われたよ!!どれだけ恥ずかしかったか…っ」



早口で淡々と続けるアランの口調、声量、眉間の深さでレオナは一瞬でわかった。

アランはイライラマックス、しかもかなりの。



「でさ、予約取れた?」



アランのすさまじい愚痴を終わらせるために話をそらそうと話題を変えようと試みる。

予想通り、アランは簡単に引っ掛かってくれた。



「あったりまえじゃん!
僕がやったんだからバッチリだよ!!」


「はい、よく出来ました。
じゃあ早く入ろう。そして早く寝よう。ベッドが恋しい…」



自慢げに鼻をならして踏ん反り返るアランを尻目に、フラフラと足どり悪く、レオナは宿へ向かい始めた。

その姿はどんどんと見えなくなっていった。





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