ゴッドネス・ティア
「じゃ、僕は外に行ってくるね」



アランは少し残念そうに教会の外へ出て行った。


アランは礼服を着ていない。


それはアランだけ教会の外で見張りをするからだ。


念には念を、ということだ。


別に、別にお金が足りなかったというわけではないらしい、多分。



「じゃ、ヒサノ、
い、いいい行くかっ!!」



緊張しすぎて舌がまわらないレオナにヒサノが小さく吹き出した。


くそっ、笑うなっ!!



「そんなに緊張しなくても大丈夫です。
喋らなければぜーったい男ってばれませんから!」



眩しい太陽スマイルを見せる。



「くそっ、そんなスマイル見せたって俺は光合成できねーぞっ!!」



「何言ってんですか、早く扉を開けて下さい」



ヒサノはいつまでも迷っているレオナに呆れたのかさっさと自分で扉を開けた。



「あぁ、くそっ!こうなりゃ腹ぁくくるぞ!!」



「はい、最初からそうして下さい。
え〜と、血の石は何処でしょう…?」



式場に入った二人はまず、血の石の在りかをさがすべく辺りを見渡す。



「血の石…血の石はどこだ…?」



右には椅子、左にも椅子。


教会は結構殺風景で探すよりも見渡すくらいで十分な広さだ。


だが、見当たらない。



「おい、血の石がねぇぞ…」



「お、おかしいですね…
アンさんに聞いておくべきでした。…あっ」



ヒサノが急に小さく声をあげた。



「なんだ?!見つかったのか?!」



辺りをキョロキョロ見渡す。



「違いますよ、ほらっあれ!」



ヒサノの指差す方向をたどって見る。


そこには見知らぬ男性と幸せそうに腕をくんでいるアンがいた。



チャーラーァンララーァーン


チャーァラァーララーァン



結婚式っぽい音楽が教会に響き渡る。



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