ゴッドネス・ティア
「アンさん幸せそうですね…」



「そうだな…」



「…で、レオナ、ちょっと頼みが…」



少し困ったように見上げてくるヒサノ。



「…なんだよ」



「お願いです、この教会の中を隅々まで…」



だが、ヒサノがめんどくさい用事を頼む途中にフッと辺りが暗くなり、話は中断された。


なんだなんだ、と辺りはざわめく。



「おい、ヒサノ……ん!?」



話かけると、ヒサノは白く、細い指を自分とレオナの唇にあてた。



「しーーっです!!」



小声て指示される。


コクリと頷き、レオナは素直を従った。



「キャァァァァアアアアっ!!」



そこで、見知らぬ女性の叫び声が教会に響き渡った。



「なんだ?!」



辺りがざわめく中、レオナは背伸びをして叫び声の方向を見た。


見ると、一番前の席の若い女性が顔を真っ青にして座り込んでいた。



「血の石が、ない…」



それだけ呟くと、女性は気を失ったのか地に伏せた。



「何だと!?…血の石が?」



出席者の皆様が次々と首をあげる。


目線は天井へ一直線だ。


と、いうことは。


レオナも天井を見上げる。



「血の石……?」



レオナが見たものは絵だった。


天井を全て埋めつくす程の大きな絵画が飾ってある。


絵の人物は、虚ろな目をしているが、バンクロフト教会で見た絵画の女性に似ていた。



「メルス様…?」



ポツリとヒサノが呟く。


そう、あの女性は……



「女神、メルス様…か…」



フッとその名を口に出す。



「てか、血の石は天井のどこにあるんだ…?」



2.0の目をこらして絵画を見つめる。



「…見つけた」



絵画の人物…メルスの手元に小さな穴がある。


きっとあの穴に血の石が埋め込まれていたのだろう。



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