ゴッドネス・ティア
二人は住んでいるパオーレ村…、別名エルフ一小さい村の門をぬけ、目的地へ急ぐ。


バンクロフト教会は村をぬけた森の奥だ。

エルフ一の教会だというのにこんな田舎にあっていいのだろうかと考える人は少なくない。

二人は森へ足を進める。


森と言える程大きくないので迷う事はまずない。


パオーレ近辺では珍しく季節というものがあり、今は終わりに近い夏。

とても暑いというわけではなく、しかもこの辺りは自然溢れる地域で木々が青々と茂っているせいか、薄着なら不快な気持ちにもならない。

だから夏は嫌いではなかった。


風が自然の香りを運び、たまにピューと強く吹くのが心地いい。



しばらくすると、白い大きな建物が見えてきた。


大きなクリーム色のシンプルな扉がまず目に入り、

辺りはキレイに掃除され雑草など一つもなく、建物の年齢を忘れさせる。



「着いた、バンクロフト教会」


「着いたは着いたけどこれから俺らどーするわけ?」



教会の外には誰一人いない。

自分から教会に入るわけもいかない。

何たってここは男子禁制なのだから。



「俺らすることねーな。
草むしりでもやっとくか?」


「ボランティア活動は一人でやってなよ」



じじくさい発言のレオナをアランは冷たくあしらった。

しゅんと肩を落とす15歳。



「ここで待つわけにもいかないし…よし、意を決して入ろう!」



小さな手でぐっと握り拳をつくり、目線を教会に合わせるアラン。


何故そんなにやる気があるのかと小さく溜息をつきながらもアランに合わせてレオナも扉に近づく。

取っ手に手をかけた。

―――が、次の瞬間。



ガンッ!!!


「つーか、まじやばくね?」


「今度マジ絞めてやろ、…ん?」



教会から同時に出てきた女二人が目の前で頭を抱えてうずくまる少年に気付いた。



「いってぇ………」



少年は………レオナは珍しい奇妙な赤い髪を痛みに堪えるように掴んでいる。




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