ゴッドネス・ティア
「……っ結婚式って何分かかるんだ?長い、長すぎる!」

外で見張り役をやっているアラン・クリスティンはジダンダをする。

「あー、レオナ達ちゃんと血の石盗めたかな?それが心配だなぁ…」

待ちきれないというようにうろうろと辺りを歩き回る。

と、そこにある一人の老婆がアランに近づいて来た。

それに気付いたアランは嫌な予感がすれといいたげに顔を引き攣らせた。


「僕ちゃん一人で大丈夫?迷子なの?お姉ちゃんが一緒にお母さんを探してあげまちょうか?」


お姉ちゃんじゃねぇだろ?!


これで何度目だろう。

少なくとも5回は聞いているこの言葉。


「迷子じゃないです!!もうほっといて下さいぃぃいい!!」


今までのイライラを自称お姉ちゃんにぶつける。

キッと自称お姉ちゃんを睨んだ。


「あ…そう……」

自称お姉ちゃんは悲しそうにトボトボ帰って行った。

その背中は寂しそう。

きっとまだ小さいアランに構ってほしかったにちがいない。

だが、アランはそれに気付くそぶりも見せない。

すると、背後から大きな影が現れた。

それにもアランは気付かない。


「…おい…。」

「だぁーかぁーらぁーっ僕は迷子じゃないってば!!」


また自称お姉ちゃんかと思い、勢いよく振り返った。

「誰もそんなことは聞いていない。通行の邪魔だ。退けろ。」


自称お姉ちゃんではなかった。

アランが見たのは高身長の男だ。

深い青色の髪を一つに緩く束ねている。

見たところ、年齢は20歳前半の男は眉間にシワを寄せ、不機嫌極まりない顔をしていた。

アランはその男を見上げることしか出来なかった。怖くて。

「邪魔だと言っているだろう。早く退けろ。」

凄みのある低い男の声で我に帰る。

アランは素直に場所を譲った。

男はアランを横ぎり、教会に入ろうと取っ手に手をかけた。


「…ふぅ…びっくりしたぁ…。レオナぁー…早く帰って来てぇ〜っっ!」


今にも泣き出しそうな声で呟く。

だな、その声は男の耳にも入っていた。

男はアランを振り返る。


「貴様…今…レオナと言ったな………?」



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