ゴッドネス・ティア
フードを脱いだ男はニッと笑んだ。


淡い紫の髪を振り払う。


よく見ればこめかみだけ少し長い。


そして目は…闇のように暗かった。



「正体ばらしてもいいのかよ!
顔覚えちゃうぞっ!!」



「覚えておくがいい…。
また会うときがくるはずだ」



そう言うと、またフードを深く被る。



「俺の名はスー・チャン。
メルスの墓場でまた会おう」



立ち去ろうとフードの裾を翻した。


だが、体は垂直に固まっている。


目の前で一本の剣が突き付けられていたからだ。



「逃げようとでも思ったか?
残念だな…おまえはもう逃げられない」



剣を突き付けた本人は嘲
け笑った。



見知らぬ男………



「………誰…?」



レオナとヒサノは首を傾げる。



「レオナ!!」



向こう側からアランが駆けて来た。



「わぁー、いたよぅっ何分待ったと思ってんの?!僕がどれだけ待ったことか…!!」



そしてまたピーピー喚く。


慣れているレオナはまたか…と溜息をついた。


こういうのは軽く流すのが一番だ。



「スノーリアさん!こうつどうします?」



…スノーリア?


レオナとヒサノはまた首を傾げた。



「それは後だ」



スノーリアと呼ばれた男はキッと二人を睨む。



「フ……………」



「…何が可笑しい……」



スーは不敵に笑う。


スノーリアの凄みのある声でも笑いは止まらない。



「血の石はあの赤い髪のこに渡したよ?俺はもう関係ないから逃がしてくんない?」



笑いを堪えるスー。


その姿はなんとも気持ち悪い。



「ここで俺を殺ったって何もならないよ。てか、時間の無駄だね。」



そしてまた、不敵に笑むとフードの裾をひらつかせ、強風が吹き上がる。


風はスーを守るように包み込み、スノーリアは剣を引かさずおえなくなった。



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