ゴッドネス・ティア
二人は行く宛もなく辺りをさ迷っていた。


一度上がった雨がまた降り出し、よく前が見えない。



「華蓮ちゃん、まず木を探そうよ。
雨降ってて前もよく見えないし、草があるから水分吸い取って靴もビチョビチョ…。
雨宿りしよ?」



フラフラと華蓮に着いていくル・メイだが、華蓮はずんずんと先へ進んでいく。



「木なんかないだろーが!
ちゃんとまわりをよく見てから言いなさい!!」



華蓮そう言われ、きっと睨まれたル・メイはブゥと唇を尖らせた。



「…香月さん、リュンマさん、シャラン、…何処にいるのかなぁ?」



「弱気になるなっ!
国王国家女五大騎士の自覚を持て!
お国のためにいるオレ達が弱気になったらダメなんだよ!」



そんなことを言っている華蓮が一番弱気なのは無視して息荒く歩くスピードを速める。



「お国のためかぁ…『我等はお国のため、国王のため、命をかけて戦うことを誓う。』ちゃんと覚えてるよ」



「覚えてるのならきちんと役目を果たせ!
しかもそれは『国王国家騎士の誓い、第二番』だろ!」


「わかってるって、『国王国家騎士の誓い、第一番。我等は、全ての危険物から国王と国を守り、国王の命令から背かない事を誓う。』でしょ?
でも、何も見えないよ、どうするの?」



「とにかく歩くの!!」



ぶっきらぼうに言い放ち、ル・メイをおいてずんずんと先へ進んで行った。



「ああ!まってよぉ〜」



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