ゴッドネス・ティア
「ほら、お腹減ってるんでだろ?あんた等が気絶してる最中お腹がゴーゴー鳴ってうるさかったんだから」



そういってぱりっとした固めのパンを華蓮に投げ付けた。

慌てて受け取り、今は結っていない水色の長髪が揺れる。



「ばっ馬鹿!危ねぇだろっ!食べ物を投げるんじゃありません!」


「うるさい、さっさと食え」


「な、なにぃぃぃいい!」



鍋を乗せたら今直ぐにでも沸騰しそうな勢いで腹をたてる華蓮。

そんな華蓮を少女は横目でちらりと見て、すぐに視線をル・メイへ落とす。

焼きたてのパンをそっとル・メイの口元に置いた。



「オレには投げ付けたくせに…」



少女の自分への差別的な行為に華蓮は悔しそうに唇を尖らせた。



「ん〜…食いもん!」」



その「食いもん」が何かわからずに寝起きのル・メイは「食いもん」にかじりついた。



「ん〜〜パン!!」



「食いもん」の正体がわかったル・メイは嬉しそうにピョンと跳び起きた。

が、そのパンを与えてくれた少女と目が合い、ル・メイは時が止まったように静止し、食べかけのパンを純白のシーツにポロリと落とした。


目が点になったまま数秒が経過…



「―――…ぎゃーー!……ち、ちびっ子魔女がぁぁ〜〜!!」



落としたパンなど気にもとめず、奇声を発しながらベッドの毛布をひるがえして潜り込む。

ベッドの上で暴れるル・メイの毛布に巻き込まれ、パンがベッドから転がり落ちる。


それを素早く察した華蓮は滑り込みで地面スレスレのパンをキャッチした。


彼女のモットーは「食い物は大切に!!」だ。

華蓮は毛布の中で縮こまる丸い物体を軽蔑の目で睨んだ。


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