クマのぬいぐるみ
出会い
なんだか隣の部屋が騒がしい。
閑静なアパートの静けさを大名行列でも通ったかのように打ち砕く騒がしさで俺は目が覚めた。
今日は日曜日。梅干しを食べた口のようにしょぼしょぼな目を擦ると俺は時計に目を向けた。AM9:00。昨夜友達と飲みに行って帰ったのが朝方の5時だった。
『まだ眠い…』
そう心の中で呟くと俺はその耳障りな音に栓をするように布団に潜った。
家には無造作に散りばめられたAVに雑誌や弁当の食べカス、ペットボトルや紙クズが置かれていた。
まさに独り暮しの男の部屋としてのお手本である。
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