君と過ごした嘘つき時間
ピタッ…って。
俺の足が止まった。
「ストーカーではなさそうだけど。
相変わらずモテモテだねぇ~。
しかも嫌がってないみたいだし?」
「関係ねーだろ」
「ハハ、否定はしないんだ?」
━━━━━ダンッ
「あーあ。また壊して…」
俺の拳で穴が開いた壁を見て
目の前の奴は呆れ返った。
「黙れよ翠(みどり)…」
「もしかして惹かれてんの?」
「黙れっつってんだよ!!!」
俺は胸倉を掴んで言い放った。
「蒼」
ハッ!
我に返った俺は翠を解放した。
「全く…うるさいのも
暴力的なのも昔っからなんだから」
苦笑するアイツは
「どーせ部屋にいるんでしょ?ご飯出来たら呼ぶね」と機嫌良く言って
リビングへ行ってしまった。
「チッ…くそ」
それからイライラしたまま
部屋に篭った。