君と過ごした嘘つき時間
「下の名前までは、よく分かんねえけど
苗字だけなら、なんとか!!!」

「苗字だけでもいいから!で?何!?」

「‘ 天宮 ’」

「あま…み、や?」

侑華が再度リピートする。

天宮・・・・。

「下の名前は?」

「だから知らねぇって」

「なんでよ!」

「最初に言ったじゃん。
『苗字だけしか、よく知らねぇ』って」

あー、確かにそう言われたかも。

あの人………天宮って言うんだ。

名前をリピートするたびに
今朝バスでの優しい彼の笑顔が
何度も私の頭をよぎる。

かっこよかったなぁ〜♡

両手を頬に当てると
私はいつの間にかデレデレしちゃってたらしく


「なんか、ココに乙女化した
変な女子がいるぞー(笑)」

「おーい、琴波ー?」

侑華は私の顔の前で
手をブンブン振るけど、
今の私には視界に入ってこない。
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