君と過ごした嘘つき時間
「・・・え。」


開いた口が塞がらない。

だって、いないであろう人が
教室のドアの所に居たから…。


「あなたは・・・天宮君ね?
今から廊下に並ぶから
荷物を自分の席の所に置いてね。

で、君の席は…亜津嶋君の後ろね。
1号車の1列目の前から2番目。」


「・・・。」


無言の天宮君。

どーしよ…。
こんな所で再会するなんて。

もう逢えないって思ってたのに・・・。

でも、どーしてまたこんな学校に?

彼ならもっとレベルの高い
高校に行ける才能を持っているのに。



天宮君は自分の席につくかと思いきや
スタスタとこちらに向かって歩いて来た。


私は、勇気を出して口を開いた。

『また逢えたね』って…
言おうとしたけど、声が出ない。

そんな時だった。
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