君と過ごした嘘つき時間
「私の名前は笹倉 雅(ささくら みやび)」

「私は、琴波…。紫野原 琴波だよ。」

「琴波ちゃん?綺麗な名前。
琴波ちゃんの名前を聞くだけで
メロディが聴こえてくる気がする。」

「え?」


き、綺麗な名前って…。
そんな、私なんかただの至って普通の
平凡ネームなのに!


「なんだかね…
美しい旋律で音を奏でるみたい…。」


瞳を閉じてホントに音を
聴いているかのような雅ちゃん。

なんだか、不思議な子…。


「雅ちゃんだって、凄くいい名前じゃん!
だって、“雅”って
上品で優美な事でしょ?
風雅で優雅って意味を持つ事。

とっても、雅ちゃんにピッタリの名前だよ」


微笑む私を見て
頬を緩ませた雅ちゃんは
『ありがとう』と一言言った。




それから、私は
雅ちゃんとの話に没頭しちゃって…。

あっという間にチャイムが鳴って
自習の時間になってしまった。
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