君と過ごした嘘つき時間
「え、紫野原さん…大丈夫よ!」

「先生、琴波ならすぐ戻ってきますよ。
なんたって、あの子感の鋭い子ですから」

侑華が先生を納得つけていた声は
走って教室から遠ざかる私の耳に
微かに聞こえた気がした。




どこだろ…。

保健室登校は、まず
昨日の性格からしてないと思う。

あーゆー人が、いそうな場所は・・・



私は、扉を開けて埃っぽい空にある
あまり使われていないであろう階段を
タンタンとリズムよく登っていく。


「本当は、来ちゃいけない場所なんだけど…」


彼に逢いたかった私は
そんなのお構いなしに、ただひたすら
階段を登った。


その先にある
鉄でできている扉の鍵が開いていて
─────ギイイイイ…
と重い音を立てながら
ゆっくりと扉を開けて、一歩踏み出した。
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