君と過ごした嘘つき時間
「・・・はい」

私は、あえて声の主の方を
向こうとはしなかった。


余計に苦しくなるから…。


「教室には、ちゃんと戻って来てください。
みんな、待ってますから…」


そして、扉を開いて
屋上から出ようと足を踏み出した時…
ストンッと軽々しくジャンプして
飛び降りてきた。


・・・え?

私…抱き締められてる!?


後ろから彼の手が伸びて来て
軽く抱き締められた。


「このままサボろーぜ?」


「はい!?」


さ、サボる!?
無理無理無理無理!

まだ入学してそんなに時間も経ってないのに
始めっからサボってばっかじゃ
先生達に目付けられちゃうよΣ


私は顔を横にブンブンと振った。

「何?俺をこのまま一人にする訳?
へー、たいした根性だな(笑)」


「ち、違う。意味が分かんない…です。
さっきは視界に入ってくんなとか
言ってたのに、今度は1人にするなとか…
矛盾してるよ…。」

それに、
私の精一杯の友達になりたいって想いを
思いっ切り無視したままだし…。

まぁ、別にもういいんだけどね。
気にしてないし…。
< 77 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop