君と過ごした嘘つき時間
はぁ〜。
疲れる。
「行くぞ」
「え?」
まだ、タオルで長い髪を拭くコイツに構わず
俺は歩き出した。
・・・にしても寒い。
春でも、さすがに水に飛び込んだのは
無理しすぎたか?
後から小走りで
俺についてくるコイツ。
「ほら…」
「ぇ?」
差し出したヘルメットを
不思議そうに眺めてる。
ヘルメットの何に興味持ってんだよ
「さっさと乗れよ、ノロマ」
「ご、ごめんなさぃ…」
「家まで送ってってやるよ。どこ?」
「えっと、南町の…」
「反対方向に来たのかよ。
ホント…お前訳分かんねー。変人だろ」
俺がそう言うと
ニコッと微笑むバカ女。
「何が可笑しいんだよ。
頭大丈夫じゃねーなら
病院連れてってやろーか?」
ちょっと、弄る感じで言ってみたけど
逆効果みたいで…
「ううん、大丈夫!!!」
笑顔で答えやがった。
これこそ、本物の変人だな。
ヘルメットを被り
後ろに乗ったのを確認すると
俺はバイクを走らせた。