ツンツン姫がイケメン王子に恋をした話








「なんでそんなにかっこいいのよーー!!!」





声に、聞き覚えがある。
そりゃ、あるよ。
だって、今俺が探している張本人の声と全く同じなわけで。





「イケメン王子・石田潤のかっこよさは計り知れない未知数なものだからね!☆」





…ただ、俺の知ってる彼女はこんな事言わないし、こんな大声で叫んだりしない。
声がそっくりな別人?
いや、言ってる内容は全部俺が彼女にしたことだから、やっぱり本人…。
でも、彼女がこんな事……。
だめだ。
一人で考えても拉致があかない。
俺は意を決して、屋上のドアを開けた。
『ガチャ』





「…姫?」


「い、石田潤……!?」





大きな目が丸くなって、まるで漫画に出てくるヒロインみたいに驚く彼女。
…やっぱり、"残念な姫"だった。
それにしろ、キャラ変わってない?
あんなに叫ぶような子だったっけ……?





「い、今の!!」





一歩近づく姫。
よく見ると、耳が赤くなって、少し目が潤んでる。
…ドキ。










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