華ヒメゴト
右脚首の金属が外されると、私は彼にお姫様だっこをされて、浴室に連れ込まれる。

「はじめの頃より軽くなったね」って、彼は私に言う。私がココにきたのは一ヶ月前。何も見えないけど、私は確かに痩せた気がする。「今度、映画でもみようか?面白い洋画みつけたんだ」彼は楽しそうに一方的に話してくる。

角をまがってすぐの所に浴室はある。

「ねぇ、僕間違ってるのかな?」彼の声が先程とはちがって弱々しかった。「僕は君を愛してるんだ。」浴室に震えた彼の声が響く。

「貴方の顔がみたい。」

私を抱きかかえてる彼は口で私の目隠しを外した。

ー愛しい、彼。

「愛してる」私は彼に一言言う。

そして…

「僕も……君を……」

私を水を張った浴槽の中に落とし…

「愛してる」

彼は私の体を浴槽の中に沈める。私が抵抗しない様に、手錠をつけたまま。彼は私を力いっぱい押さえ付ける。

ゴポッ

私が水の中で水面に歪む彼を見る。

ー愛しい私の彼。どうして泣いてるの?

……………

……




そして、、、私は

深い水の底へと意識を沈めた
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