華ヒメゴト
2.
頬にさわさわと何かが触れる感触で自分の意識を掴んだ。ゆっくり目を開けると朝日が目に刺さる。いつもは目隠しがあるから朝日を見ることはない。久々に目で物を見た。そして、私の正面で微笑む彼。
「おはよう」
彼はそう言ってわたしのおでこに触れる様なキスをした。
そして、また、「どんな夢をみたの?」と、わたしに聞いてくる。いつもの会話。
「…………」
「僕たちはさ、死んでもずっと一緒だよね」微笑みながら彼は言う。
「うん。」
「なのに、君の死後の世界に僕はいないの…」彼はまた泣きそうになっている。
ー貴方の悲しい顔、綺麗。
「泣かないで」そして今度はわたしが彼の唇にキスをする。
「僕、寂しいよ…君とずっと離れたくないよ…」
そう言って彼はベッドから出て、またわたしを浴室へ連れて行く。
彼に殺されかけ、救命活動で生き返り、また殺されかけられる。
終わらない輪廻を繰り返す。