華ヒメゴト
5.
「そんなに急いでどうしたの?」
ドクン!心臓が跳ね返る。聞き慣れた声だったが、声かけられるなんて思ってもみなかった。
「か、角田さん!ビックリしたぁ」「隣の人とうとう引っ越したみたいよー!」はい、コレ!と、角田さんから一通の白い封筒を貰った。札束とか入っているのかと思うくらいややずっしりと重い。「もともと部屋、使ってないみたいだったしねぇ」「ありがとうございます」と、短い会話を終わらせた。
「ただいまぁー」私は部屋に入り、靴を脱ぎながらノリで丁寧に封をされた封筒を手でちぎっている。
封筒には束になった何かが入っている。「出てこない…」きっちり封筒から入った束は取り出すのが不可能で、仕方なく封筒ごと破ることにした。
「………ぇ………??」