無垢なヴァンパイア


来るか…?


澄んだ空気が横切った気がした。


そして


「だから、なんなのかしら?私に何の関係が?」


鈴のように軽やかで綺麗な声が響いた。


男は驚いた様子もなかった。


「関係はある。お前の両親が侵入者に殺され、お前が眠りについた後から異変が起きたんだ」


「偶然じゃないのかしら。それに、ヴァンパイアの血や体液が一定値を越えれば、純血種じゃなくてもヴァンパイアにできるもの」


少女の声は冷静だ。


純血種とは人間の血が入っていないヴァンパイアのことである。


「ヴァンパイア界の重鎮とも連絡がとれない。こんな事態はかつてないんだよ。人間をこの世から無くそうとしているようにしか思えない事態なんだ。だから頼む。ハンター会に協力してくれ」


ハンター会とは人間とヴァンパイアの共存を乱すヴァンパイアを狩るもの達が属するところ。


「…私はヴァンパイアよ。目覚めたらあなた達に刃を向けるかもしれないわ。…それ以前に私はこの世を見限った」



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