無垢なヴァンパイア


「本当にこの世を見限ったなら、あの時死んでいたはずだ。襲撃者はお前を狙っていたのだからな。いくらでも死ぬ方法はあったはずだ」


双子は男の言葉に険しい表情になった。


それでも男は続ける。


「お前は元々人間界とヴァンパイア界に悪影響を及ぼすヴァンパイアを狩っていた。調停者としてな。…お前は何のためにその類いまれなる能力を持っているのだ。こんなとこで悠長に眠っていられるのも今のうちだ。今目覚めなくてもどんどんお前を訪ねて目覚めろ、とせかす奴は増えるぞ。だったら、ここが騒々しくなる前に、目覚めろ。そして、俺に力を貸せ」


その言葉に双子は我慢の限界とばかりに男に飛びかかろうとする。


その時、鈴を転がしたような笑い声が響き渡った。


「うふふ…あははは!」







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