無垢なヴァンパイア
目覚め
水晶の中の少女は眠ったまま。
笑い声だけが響き渡る。
「なんて俺様なの!ねぇ、私はこの特殊な力のせいで命を狙われたわ。そして、目覚めればまた狙われるはず。みすみす殺されにいくなんて嫌よ」
「安心しろ。俺の全てをかけてお前を守ろう。…俺の姫」
男の目は吸い込まれそうな程綺麗だった。
…ピキッ
パリン
水晶が砕けて、部屋に勢いよく飛び散った。
咄嗟に男は腕で顔を目を庇う。
目を開けると少女が立っていた。
閉じられていた少女の目はアクアマリン色。
澄んでいて、力強くて、宝石のように美しい目。
「あなた面白いわ。気に入った」
少女はにこりと微笑んだ。