無垢なヴァンパイア


この屋敷の人は私を怖がらない。


いや、違うか…


本心では怖がっているが、表面上はそんなこと見せないし、仕事もきちんとする。


よくしつけが行き届いている。


所詮私はヴァンパイア。


人間と打ち解けるのは無理かもしれない。


ただ…カイだけは本当に私のことを怖がっていないようだわ…。


…変な人。


「さて…支度をしよう」


身支度は自分でできる。


双子がいるときは率先して双子がやりたがるから任せるけど、それ以外は自分でやる。


一人でも生きていけるようにしつけられたから。


ワンピースを身に着けると朝食を食べに下へ降りた。


主食は血だけど、できるだけ控えている。


好まないから。


何も食べないよりは人間の食べ物を食べた方が我慢できる。


下へ降りるとカイがいた。


「おはよう」


リルアはカイに声をかけた。


「ああ、おはよう。今日の夜、空けといてくれ。…仕事だ」


カイは私の行動を縛らない。


自由にさせてくれる。


…やっぱり変な人だわ。


「わかった」


いよいよ、仕事が始まる…。














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