無垢なヴァンパイア
迷いに迷った挙句、連絡を取ることはやめて、本を読むことにした。
カイの屋敷には大きな図書室もあるからそこから適当に借りた。
コンコン
「はい」
ドアを開けるとカイがいた。
カイが私の部屋を訪ねてくるなんて珍しい気がする。
まだ一週間しか経ってないけれども。
「なにか用かしら?」
「今日の夜、パーティに出掛ける。そのパーティの主催者が、何かしら鍵を握っている可能性がある」
時が来たんだ、と感じた。
だけど素直にはいはいとは従わないわ。
「鍵を握っていると思う理由は何かしら」
「それは会場に向かう途中で話す。何をするかもな。もちろん、一緒に来てくれるな?」
話してくれるならいいか。
そしてそのために私は目覚めたのだから。
こくり、とリルアは頷いた。
「夕方にメイドを寄越すから」
そう言ってカイは出て行った。