無垢なヴァンパイア
「おい。あれが今回の主催者、ディール・ダンカンだ」
こんなこと考えてる場合じゃなかった。
主催者は良いもの食べていると容易に推測できる感じ。
つまり、小太りさん。
おでこなんてつやつやを通り越してテカテカだわ。
頭も大分テカテカしてしまっている。
ディール・ダンカンは愛想良く周りの人と挨拶をしている。
一見、普通のおじさんなんだけど…。
「挨拶に行くぞ」
無言で頷いた。
「この度はお招き頂きありがとうございます」
カイってこんな優雅な態度とれるの?!
貴族の青年と言われてもあっさり信じてしまうレベルだわ…。
「そんな堅苦しい挨拶はなくていいぞ!ようこそ来てくださったな!」
なんだか、いやらしいおじさんだわ。
えらそう…
「ところで、そちらの美しいお嬢さんは誰かね?」
「最近交流を持つようになった遠縁の方です」
にこりと微笑んでおく。
「では、この辺で失礼致します」