無垢なヴァンパイア
カイがすたすたと歩き始めてしまったから慌ててついて行く。
「ねえ、カイ、あのディール・ダンカンが何か言おうとしてたけどいいの?」
「ああ。大方くだらないことだろうからな」
リルアに見とれてたからな、あの親父は。
どうせリルアのことだろう。
「ふーん」
ならいっか。
「俺は少し挨拶をしてくる。君はどうする?」
「食事してるわ」
「わかった。気をつけろよ」
「わかったわ」
カイは離れていった。
…どうして私の名前を呼んでくれないのかしら。
あんな口調なのに、君、だなんて変に感じる。
…やっぱり嫌われているのかしら。