無垢なヴァンパイア
…気にしても仕方ないか。
私は所詮ヴァンパイア。
さて、行くか。
少し力を使って目の色を当たり障りのない黒に変えてあるけど、警戒しておくに越したことはない。
食べながらも、さり気なく周りを観察する。
ヴァンパイアは人間が食べるものを食べれる。
だけど、満たしてくれるのは味覚だけ。
人間の食べ物じゃあんまりお腹いっぱいになれない。
というか栄養が採れない。
まあ気晴らしにはなるけど。
食事をしながらさりげなく周りを見渡す。
そういえばこんなに多くの人がいる場にでてくるのなんて久しぶりだわ。
あら?
視線を感じたのでその方向に目を向けると、男がいた。
…っ!
リルアは息を飲んで驚きに目を見張った。