無垢なヴァンパイア


ハッとした。


彼は違う。


あの人じゃない。


落胆と安堵を感じる。


私は彼に何も言わずに勝手に眠りについてしまったから、合わせる顔なんてないのよ…


「あの…人違いでしたか?」


その声で現実に戻された。


そうよ、なんで彼にそっくりの男が私の名前知ってるのよ?


感傷に浸ってる場合じゃないわ。


「いいえ…合ってるわ。何故、貴方が私の名前を知っているのかしら?」


その答え次第ではあの人にそっくりだと雖も容赦はしない。


「…アレン•ハートから貴方のことを良く聞いていたから…」


愕然とした。


これだけ似通っているのだから何かしら接点があるのかと思ったが、いざその名を聞くと衝撃が走る。


彼は彼を置いて行った私を恨んでいるのだろうか?


「彼は貴方のことをずっと愛していました…血の呪縛からは逃れられなかったですが、心はずっと貴方を求めていた…」



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