無垢なヴァンパイア
時は少し遡る。
会場に向かう車の中。
カイは出発してすぐに話し始めた。
「今から向かうパーティの主催者の名前はディール•ダンカン。貿易を営み、一代で名を上げた」
別におかしいところは今のところ何もないわね。
「彼は大金を築いた。だけどそれはリスクを背負って得たもの。…彼はヴァンパイアとリスクのある物品を取り引きするとこによって成功した」
「…血ね?」
「ああ。ダンカンは取引を相手が好む血を提供したようだ」
ヴァンパイアは人の血を好む。
だけど人に隠れて生きている中、堂々と血を吸うにはリスクが高すぎる。
だからこそ金を払えば血を提供してくれるダンカンと取引をしたのだろう。
ヴァンパイアは有能な者が多いから表世界で成功している人はたくさんいる。
そういうヴァンパイアは金に執着はないだろう。
だけどそれがなんなのかしら?
この世の中にはヴァンパイアと取引する商人なんてたくさんいる。
私の怪訝な顔に気づいたのだろう。
カイは口を開いた。