無垢なヴァンパイア
眠り
真夜中…私は屋敷から遠く離れた崖から屋敷を見ていた。
襲撃されてから軽く2、3時間は経っているはずだ。
逃げながら私はこれからのことを考えた。
そしてようやく決まった。
「リマ、マリ…帰るわよ」
「姫様!!なにを仰るのか!!死ぬおつもりか!!」
「いいえ…死なないわ」
「あそこに戻るということは!!」
「マリ、リマ聞きなさい」
「…はい」
リアティの静かながらも威厳のある声に二人は冷静さを取り戻した。
「これからどうすべきか考えたわ。だけど家族を失った私には何もない。生きる気力さえない。だけど死んだら奴らの思うツボだわ…。だから…一端眠るわ…条件が揃うまで」
決断した姫様に従う者は逆らうことはできない。
「かしこまりました」