無垢なヴァンパイア
「リア、マリはどうする?私が眠った後は自由になれるわ」
「どこまでも姫様に付いていきます。姫様のいない人生なんて意味もない。なのでお側にいたいと思います」
「わかったわ。…ありがとう」
リア、マリな顔を綻ばせた。
屋敷の外見はなにもほとんど変わっていなかった。
音をたてず自分の部屋へと向かう。
ガチャ…
部屋は酷い有り様だった。
血が飛び散っており、壁や床などもずたずた。
そして床には…父上と母上が着ていた服が無残に転がっていた…
死んだヴァンパイアは姿を留めず消え去る。
あれだけの力を持つ二人なのだからもしかしたら生きているかもしれないと思った。
一筋の希望も潰された。
自分の部屋を出て、地下へ向かった。
ここでいいか。
使ってない部屋はいつも澄んでいて心が落ち着いた。
ここなら眠るのにふさわしいだろう。
「マリ、リマ…頼んだよ」
ここまで何も喋らず無言でついてきた二人は神妙な顔で頷いた。
そして私は眠りについた。