無垢なヴァンパイア
2
訪問者
周りを森に囲まれた屋敷の前に男が立っていた。
男の髪は銀髪。
目は薄紫。
とても美しい顔をしている。
時刻は夕方。
夕陽の光が屋敷を照らしているが、どことなく暗い雰囲気が漂う屋敷。
「ここか…」
男はぽそりと呟くと屋敷の扉を開いて広い庭へ入っていった。
男は広い庭を歩いていき、屋敷の前で一端足を止めた。
男は屋敷を一瞥すると、一歩踏み出した。
「「そなたはここがブルーローズ家の屋敷だとわかっていて、足を踏み入れるのか?」」
突如、二重の美しい高い声が響いた。
男は驚く様子もなく、足をとめた。
「そうだ。ここの主に用がある」
「「主とは誰のことを言っているのか」」
「ここにいる眠り姫のことだ」
「「そなた…我らの姫様に何の用だ」」