無垢なヴァンパイア
声と共に二つの影が降りてきた。
男の前に音もなく着地したのは、見分けがつかない全く同じ顔をした女二人。
黒く艶やか髪は緩くウェーブしていて肩で切りそろえてある。
目は黄金。
人形のように整っている顔をしているが、猫のような雰囲気が漂っている。
「お前達が守護者か。リルア・ブルーローズはどこだ」
「「我らの質問に答えよ!」」
いつの間にか男の首の前には鋭く尖った爪が交差していた。
双子が一瞬で男に接近して首に鋭い爪を当てたのだ。
しかし男は全く動じていない。
「…力を貸してもらいたい、お前達の主にな」
「貴様、姫様が何故眠りにつかれたのか知らないのか?」
片方が言った。
双子は手をゆるめない。
「知っている。だが、お前達の主にも関係あることだ」
「ならば、我らが先に聞こう。そしてお前を姫様に会わせるかどうか決める」
「わかった」
そして、男は語り始めた。