王子様の危険な恋愛領域
最低な王子様
「あっ、や…ヤバイっ!」
授業が淡々と過ぎていき、放課後。
帰り支度をしようと、バッグを開けた私。
中に入れっぱなしだった一冊のノートを見て、思わず大きな声を出してしまった。
「どうしたんだよ、紗姫。」
隣の席に座っていた淳也が、私のバッグを覗き込む。
「化学の課題ノート、先生に提出するの忘れてた…。」
私はため息を零しながら、どんよりした気持ちで、バッグの中からノートを取り出した。
「それって、昨日…提出することになってた課題だろ?」
「うん…。昨日、うっかり持って来るの忘れちゃって…。先生に今日早めに出すように言われてたんだよね…。」
朝かお昼休みに…なんて、昨日は考えてたのに、今の今までスッカリ忘れてた…。