王子様の危険な恋愛領域
「疲れた時は甘いもの、だからな。それ食って、明日の小テスト頑張れよ。」
「えっ…」
「紗姫、化学が苦手な割には意外と飲み込みも良かったから、絶対に大丈夫。だから、自信持ってやれよ?」
「う、うん…。」
フワフワと私の頭を撫でた光琉は、優しく笑う。
そして、再び私の手をとると、家に向かって歩き始めた。
「…………。」
お菓子まで買って、私を励ましてくれるなんて…。
彼女のフリしてるだけの私に、ここまでする…?
光琉の考えてること、よく分からない…。
分からないけど……
素直に“嬉しい”って思ってる私がいる。
それに…今の光琉の言葉と笑顔に、なぜかドキッとした。
光琉のことなんて、嫌いだし、何とも思ってない。
それなのに、どうしてなんだろう…?