王子様の危険な恋愛領域
えっ、私よりも喜んでるんじゃない…?
そう思ってしまうぐらいだった。
他の女の子たちの前では、相変わらず無愛想。
キャーキャーと甲高い歓声が飛んできても、一切無視の光琉。
それなのに、私の前では…笑顔や照れくさそうな顔を見せたりする。
同一人物…だよね?
そんな疑いすら、抱きたくなるほどだ。
どうして、あんなに態度が違うのかしら…。
前に“他の女とは態度が違って当たり前”って光琉は言ってたっけ。
私のこと“特別”とも言ってたけど、その意味は未だに分からない。
うーん…。
なんか、分からないことが色々あるなぁ…。
頬杖をついて溜め息を零すと、亜弓ちゃんが私の顔を覗き込んできた。
「紗姫、どうしたのっ?音楽の授業…終わったよ?」
「えっ!?」
その声にハッとして周りを見ると、次々と音楽室を出ていくクラスのみんなの姿が映った。