王子様の危険な恋愛領域
いつの間に終わったんだろう…?
チャイムが鳴ったことに全く気付かなかった…。
「早く教室に戻らないと、紗姫の王子様が迎えに来ちゃうわよ?」
「別に私の王子様とか、そういうわけじゃ…」
「またまた〜、照れちゃって!紗姫ってば可愛い〜!」
いやいや、今のどこが可愛いのよ!
はしゃぐ亜弓ちゃんに苦笑しながら、テキストやペンケースを持って立ち上がる。
二人で音楽室を出ようとした時だった。
「芹澤さん。」
私を呼び止めたのは、音楽担当の香山先生。
とても美人の先生で、男子生徒から人気の先生だ。
「は、はい。何ですか…?」
「ちょっと、隣の準備室に来てもらってもいいかしら。」
香山先生は、隣にある音楽準備室を指差した。
「わ、分かりました…。」
一体、なんだろう…?
疑問に感じつつ言葉を返す。
「あっ、亜弓ちゃん…ごめんね。先に教室に戻って?」
そう言って、準備室に向かおうとした瞬間、亜弓ちゃんが私の腕を掴んだ。